インドからカトマンズ
ネパールには短時間で到着した。インドより標高が高いせいか空気が澄んだ感じがし涼しく快適だった。またここではネパールルピーというものがあって物価がインドより2、3割安いようだった。出口を出て外に出ようとすると個人旅行者は騙しやすいと思っているのか、カルカッタと同じようにここでも若い職員が20ドル徴収する決まりになっているとか言ってくる。その手には乗らないよと無視していると他の係員が来てこいつは信用できるやつだとか言ってくる。そのまま無視して通り過ぎると丁度、感じの良い欧米人の男性と一緒になった。一緒にホテルまで行こうということになり宿まで送ってくれるタクシーに乗る。ここカトマンズの空港では観光客はタクシーを利用するのが慣例なのかバスは見つけられなかった。
ツシタレストハウスというしっかりした宿に連れていかれる。宿代は2人で16ドルということでチャーリーさんとツインにしてもらい一人8ドルを払う。送ってくれたタクシー代込みのようであった。メインバザールに比べると高いかもしれないが全体的に雰囲気が良いので気にならなかった。そのホテルはインドに比べると立派なホテルで久しぶりにちゃんとしたホテル生活を送れそうだ。多分世界中から登山家たちが来るのでホテル側も観客に合わせて自ずとしっかりしたものになったのではないだろうかと思った。
空港で知り合った欧米人はチャーリーさんといって30代位の気品のある親切そうなアメリカ人でシェイクスピアなどの舞台俳優をしてるということであった。ミネソタからきて南インドを5週間程も旅してきたという。一緒に外へ散策に行こうということになりビールが気軽に飲める店に入り二人で飲む。ビールが市内の店で簡単に飲める。インドでは、こういかないなあと思いながら飲む。街中には色んな物売りの店があったが高度がたかいこともあってかセーターなどが沢山売られていた。
夕時になり夕食はホテルにある食堂でする。食事代もインドのメインバザールに比べるとやや高かったが、質が良いコンチネンタルが食べられると思うと気にならなかった。
翌日は観光地として有名なナガルコットに一泊旅行に行くつもりだと言うとチャーリーさんも行ってみたいということで一緒に行くことにする。中継地点のバクタプルというところまで地元の満員バスに乗るが本当にこれ以上乗れないというほどの満員であった。さてバクタプルまで行くとここからはバスが見当たらず個人のタクシーしかないようだった。ここは観光客が多くお寺を改装した洒落た喫茶店があったのでチャーリーさんとお茶とケーキを食べて一服する。そのあとに周辺を見渡していると車で行ってくれるという若者18歳を見つける。すると400ルピーでナガルコットまで行ってくれるという。それが高いにか安いのか分からなかったが1時間かかる距離の値段にしては安いと思った。
ナガルコット
到着したナガルコットは海抜2400mで寒いくらいだった。泊りの宿はロマンティックに蝋燭で宿周辺が装飾されていて夜は幻想的で綺麗だった。驚いたことにそのホテルでガンジスまで一緒に旅行していた主婦二人組に出くわした。彼女らは飛行機でガンジスから来たという。今回の旅でこういった偶然が起こったのは2回目だ。彼女らもびっくりしていた。
タクシーの若者に又帰りも頼むと言っていたにも関わらずなぜか若者は現れない。それでチャーリーさんとブラブラ中継点のバクタプルまで歩いていると、なんと乗合バスが来たので止まって乗せてもらうことにするがチャーリーさんと屋根に乗ってみようということになって屋根に乗るがこれが怖かった。手足を伸ばして掴まっているのだがカーブで振り落とされそうになり生きた心地がしなかった。安易にいたずらごころに挑戦したことを後悔する出来事であった。一方のチャーリーさんは、手足が長いからか楽しんでいるようだった。
中継点のバクタプルについてみると丁度個人タクシーの若者に出会った。チャーリーさんが待っていたのにどうして来なかったのかと尋ねても黙っていた。多分我々がちゃんと約束を守って待っているとは思わなかったのかもしれない。チャーリーさんは、インドを旅していて小さい金額は気にしないで相手の要求するままに支払うと話していた。それがツーリスト価格であっても交渉したり揉めたろして旅を台無しにすることがもったいないという考えだった。私もそう言われればその通りかもしれないと納得させられるものがあった。
さてホテルに着いてチャーリーさんとも別れてここカトマンズで数日過ごした。私はネパールと相性が良いのかインドより気楽に過ごせた。インドと比べて爽やかな気候で人々も日本人に似て押しも強くなく優しく感じられた。そのうちにもう一つのネパールの目的を果たすことに気持ちが傾いてきた。それはネパールでしか出来ないトレッキングだ。世界に誇るアンナプルナなど高山の麓を歩いて回るのだ。
コースは大体決まっており10日間で回れる感じだ。ここカトマンズから200キロ北西のポカラに登山口があり行けるということだった。そのために手段がふたつありバスと飛行機だ。バスは、道も悪くかなりの覚悟がいるということだった。それに比べ飛行機は30分弱だということで飛行機で行くことにした。他の旅人から飛行機は、たびたび落ちることもあると聞かされていたが、バスはバスで又危ない道を通っていくので事故も多いということだった。
ポカラに到着
晴天の中、小さな空港からあっという間に窓から外を眺めているとポカラに着いた。カトマンズより標高が低いせいかカトマンズに比べて温暖で過ごしやすい場所だった。ブラブラ歩いて途中に出会った日本人の旅人から情報を仕入れながら街の中心を目指した。ポカラは、大きな湖を中心に街が成り立っているという感じだった。私は湖畔のホテルに数日逗留して情報を得てトレッキングに行くことにした。丁度ホテルの支配人の息子が二十代で以前日本に留学をしていたということで日本語が通じるのが便利だった。